尊敬語

第四章 敬語
 すべての敬語は、重要語として記憶すべきです。入試で意味が問われることも多く、訳のポイントになることも多い上に、省略された主語を見分けるポイントにもなります。

1 尊敬語
 基本的には、「お〜になる/〜なさる」などと訳します。現代語に相当する敬語がある場合には、それを用います。

◎尊敬の補助動詞
他の動詞や断定の助動詞・形容詞・形容動詞などの下につき、尊敬の意味を添える。
   例 「給ふ(四段)」、「たうぶ(四段)」、「たぶ(四段)」、「おはす」、
     「おはします」、「ます(四段)」、「まします」

◎尊敬の助動詞
  活用語の未然形について、尊敬の意味を添える。
   例 「る」、「らる」、「す」、「さす」、「しむ」

◎本動詞

・「給ふ(四段)」・「たうぶ(四段)」・「たぶ(四段)」=「与ふ」・「授く」などの尊敬語。
  訳:くださる

・「おはす」・「おはします」・「います」・「いまそかり」=「あり」・「をり」・「行く」・「来」などのの尊敬語。
  訳:いらっしゃる

・「のたまふ」・「のたまはす」・「仰す」=「言ふ」の尊敬語。
訳:仰る

・「思す」・「思ほす」・「思しめす」=「思ふ」の尊敬語。
  訳:お思いになる

・「聞こす」=「聞く」・「言ふ」の尊敬語。
訳:お聞きになる/仰る

・「聞こしめす」=「聞く」・「食ふ」・「飲む」・「治む」の尊敬語。
  訳:お聞きになる/召し上がる/お治めになる

・「御覧ず」=「見る」の尊敬語。
  訳:ご覧になる

・「召す」=「呼ぶ」・「着る」・「食ふ」・「飲む」・「乗る」などの尊敬語。
  訳:お呼びになる/お召しになる/召し上がる/お乗りになる

・「参る」・「奉る」=「食ふ」・「飲む」の尊敬語。
  訳:召し上がる

・「大殿ごもる」=「寝」・「寝ぬ」の尊敬語。
  訳:おやすみになる

・「あそばす」=「す」の尊敬語。様々な意味で用いる。
  例 歌あそばす=歌をお詠みになる
    琴あそばす=琴をお弾きになる

問一 次の各文を、敬語に注意して現代語訳しなさい。

① 昔、惟喬の親王と申す親王おはしましけり。

② 帝きこしめして、内侍中臣のふさこにのたまふ。

③ こまやかに書かせたまへり。

④ 上(=帝)も聞こしめして、興ぜさせおはしましつ。