係助詞・上代の助詞
6 係助詞
係り結びの法則
係助詞 | 意味 | 結び | 訳 |
---|---|---|---|
ぞ・なむ | 強意 | 連体形 | ・格助詞と一緒に用いる場合は、訳に入れない。・主格が省略されている場合は、「〜は」と訳すか、訳に入れない。 |
や・か | 疑問・反語 | 連体形 | ・疑問の場合は、「〜(だろう)か」と訳す。・反語の場合は、「〜(だろう)か、いや、〜ではない」と訳す。 |
こそ | 強意 | 已然形 | ・格助詞と一緒に用いる場合は、訳に入れない。・主格が省略されている場合は、「〜は」、「〜こそ」と訳すか、訳に入れない。 |
係助詞・係り結びの特殊な用法
① 疑問・反語
疑問語が入る疑問文・反語文では、係助詞がなくても、連体形で係り結びする。
② 結びが流れる
係り結びするはずの文節が、接続助詞に続く場合、文末は係り結びしない。
③ 結びの省略
定型的な言い回しの場合、係り結びするはずの文末が、省略されることがある。
例
・〜にや。/〜にか。(あらむ)
・〜にこそ。(あれ/あらめ)
・〜とぞ。/〜とや。(言ふ/聞く)
・〜なむ+体言。(なる)
・〜こそ+体言。(なれ)
④ 逆接
「…こそ〜已然形、」となって、文が続く場合、逆接(…は〜けれども)となる。
例 中垣こそあれ、一つ家のやうなれば、
⑤ 「もぞ」、「もこそ」
「…もぞ〜連体形。」、「…もこそ〜已然形。」となる場合、「…が〜と困る/大変だ」と訳す場合が多い。
例 雨もぞ降る。
問九 次の文を、係助詞の用法に注意して、現代語訳しなさい。
① 思ひいでて人こそ訪はね 山里のまがきの萩に秋風は吹く
② なほ誤りもこそあれとあやしむ人あり。
③ 世に語り伝ふること、まことはあいなきにや、多くはみな虚言なり。
◎上代の助詞
・「かも」…詠嘆・感動の終助詞(〜だなあ)
例 天の原ふりさけ見れば 春日なる三笠の山に出でし月かも
・「やも」…詠嘆の気持を込めた疑問の係助詞(連体形結び)(〜だろうかなあ)
例 をのこやも むなしくあるべき 万代に語り継ぐべき名は立てずして
※『万葉集』の和歌などに用いられる。