敬意の方向

4 敬意の方向

敬語の種類 地 の 文 会 話・手 紙
尊敬語 作者から動作の主体へ 話し手・書き手から動作の主体へ
謙譲語 作者から動作の客体へ 話し手・書き手から動作の客体へ
丁寧語 作者から読者へ 話し手・書き手から聞き手・読み手へ

基本の文脈
 ・AがBに言ふ。
Aが高貴な場合
 ・AがBにのたまふ。(尊敬語「のたまふ」が、動作の主体Aに敬意を表す)
Bが高貴な場合
 ・AがBに申す。(謙譲語「申す」が、動作の客体であるBに敬意を表す)
AもBも高貴な場合
 ・AがBに申し給ふ。(謙譲語「申す」がBに、尊敬の補助動詞「給ふ」がAに敬意を表す)

※古典では主語などが省略されることも多いので、その場合は「主体」や「客体」を補って考えます。

問四 次の括弧内の敬語は、誰から誰への敬意か、後の記号で答えなさい。

 中将人々引き具して(宮中へ)帰り①(まゐり)て、かぐや姫を、え戦ひ止めずなりぬること、こまごまと②(奏す)。薬の壺に御文添へ、まゐらす。ひろげて御覧じて、いといたくあはれがらせたまひて、ものも③(きこしめさ)ず。御遊びなどもなかりけり。大臣・上達部を召して、「いづれの山か天に近き」と問はせたまふに、ある人奏す。「駿河の国にあなる山なむ、この都も近く、天も近く④(はべる)なる」と奏す。
(『竹取物語』より)

記号 ア 作者  イ 中将  ウ 帝  エ 大臣・上達部  オ ある人

①(   から   へ ) ②(   から   へ )

③(   から   へ ) ④ (   から   へ )


問五 次の文は、『源氏物語』若紫の巻で、僧都が尼君に話した言葉である。文中の括弧内の敬語は、誰から誰への敬意か、記号で答えなさい。

 「こなたはあらはにや①(はべら)む。(あなたは)今日しも端に②(おはしまし)けるかな。 この上の聖のかたに、源氏の中将(=光源氏)のわらはやみ(=熱病の一種)まじなひにものし③(たまひ)けるを、ただ今なむ聞きつけ④(はべる)。いみじう忍び⑤(たまひ)ければ、え知り⑥(はべら)で、ここに⑦(はべり)ながら御とぶらひにも⑧(まうで)ざりける」

記号 ア 作者  イ 僧都  ウ 尼君  エ 源氏の中将

①(   から   へ ) ②(   から   へ )

③(   から   へ ) ④(   から   へ )

⑤(   から   へ ) ⑥(   から   へ )

⑦(   から   へ ) ⑧(   から   へ )