接続助詞

2 接続助詞
 接続助詞の場合は、接続(どの品詞・語・活用形につくか)が大事なので、訳の仕方とともに覚えましょう。

◎「ば」の用法
 入試問題でもポイントになることが多い、超重要事項です。

・未然形+ば…順接仮定条件
訳 (もし)〜としたら/〜ならば
例 世の中に絶えて桜のなかりせば
 (この世の中に、もしまったく桜がなかったとしたら)

・已然形+ば…順接確定条件

原因・理由(〜ので/〜から)
  例 暁より雨降れば、同じ所に泊まれり。
(明け方から雨が降るので、同じ所に泊まった。)

偶然条件(〜と/〜ところ)
  例 弁の宰相の君の戸口をさしのぞきたれば、昼寝したまへるほどなりけり。
   (弁の宰相の君の部屋の戸口を覗いたところ、昼寝をしていらっしゃる時であった。)

恒常条件(〜といつも/〜と必ず)
例 命長ければ恥多し。
   (命が長いと必ず、恥をかくことが多い。)

※「已然形+ば」は頻繁に出てくる表現ですが、恒常条件はめったにないので、通常は、原因・理由と偶然条件のうち、文脈に合う方で訳していきます。「已然形+ば」は、現代語の「仮定形+ば」と形が同じになることも多いのですが、あくまで「確定条件」であって「仮定条件」ではないので、必ず訳しましょう。


問三 次の括弧内の「ば」の用法を、後のア〜オから選びなさい。

 ① 老いぬれ(ば) さらぬ別れのありといへば いよいよ見まくほしき君かな

 ② 近寄りて見けれ(ば)、いまだ見ぬ人なりけり。

 ③ 年五十になるまで至らざらむ芸を(ば)捨つべきなり。

 ④ 本の笛をかへしとらんとも言はざりけれ(ば)、長くかへてやみにけり。

 ⑤ 「かしこより人おこせば、これをやれ」

ア 順接仮定条件  イ 原因・理由  ウ 偶然条件
 エ 恒常条件   オ 係助詞


◎「とも」

接続…終止形(ラ変型も終止形。但し、形容詞型は連用形)

意味
・逆接仮定条件(〜としても/〜ても)
例 用ありて行きたりとも、その事果てなば、とく帰るべし。
    (用があって行ったとしても、その事が終わったならば、早く帰れ。)


◎「ど」、「ども」

接続…已然形

意味
・逆接確定条件(〜けれど/〜けれども/〜が/〜のに)
  例 足ずりをして泣けども、かひなし。
    (地団駄を踏んで泣くけれども、どうしようもない。)

※以上が最も基本的な接続助詞となります。

◎「が」、「に」、「を」
 これらは、元々は格助詞であったものが、接続助詞としても使用されるようになったものです。「が」は、現代語でも同様に格助詞と接続助詞があるので、簡単に見分けがつきますが、「に」と「を」は、格助詞か接続助詞かが微妙な時もあり、しかも、順接でも逆接でも使うので、識別が難しくなっています。
 ポイントは「に」・「を」の上に「もの・こと・の・とき」などを補うかどうかで、
  補うなら格助詞、
  必要ないなら接続助詞
となります。
 また、述語動詞が
  目的語(〜を)をとるかどうか、(「を」の場合)
   とるなら格助詞
   とらないなら接続助詞
  補語(〜に)をとるかどうか、(「に」の場合)
   とるなら格助詞
   とらないなら接続助詞
という点も考慮するとよいでしょう。

接続…連体形(準体法ではない)

意味
「が」…逆接確定条件(〜が)

「に」、「を」
・順接確定条件(〜ので・から/〜と・ところ/〜といつも・と必ず)
例 かく歌ふを聞きつつ漕ぎ来るに、黒鳥といふ鳥、岩の上に集まりをり。
  (このように歌うのを聞きながら漕いで来ると、黒鳥という鳥が、岩の上に集まっている。)

・逆接確定条件(〜けれど・が・のに)
例 参りたまふべき由ありけるを、重く煩ふ由申して参らず。
  (参上なさってくださいとの命令があったが、重く病気を患う次第を申し上げて、参上しない。)


問四 次の各文を、接続助詞に注意して、現代語訳しなさい。

 ① 来むとありしを、さやある。

 ② 目をかけて待ち渡るに、花もみな咲きぬれど音もせず。

 ③ はじめは声をあげ叫びけるが、後には声もせざりけり。

 ④ この女の童は、絶えて宮仕へつかうまつるべくもあらずはんべるを、もてわづらひはべり。

 ⑤ 涙のこぼるるに目も見えず、ものも言はれず。



◎「で」

接続…未然形

意味
・打消(〜ないで/〜なくて)


◎「つつ」

接続…連用形

意味
・反復(〜ては/繰り返し〜て)
・継続(〜ながら)
・並列(〜ながら)


◎「ながら」

接続…動詞型の連用形、形容詞・形容動詞の語幹、体言など

意味
・継続(〜ながら/〜まま)
・並列(〜ながら)
・逆接・矛盾(〜けれども/〜のに)
 例 近くに見えながら、行きつかず。
  (近くに見えているのに、行き着かない。)


◎「ものの」、「ものから」、「ものを」

接続…連体形

意味
・逆接確定条件(但し、「ものから」は、近世以降、順接確定条件)


◎「て」、「して」

接続…連用形

意味
・単純接続(〜て)


◎「からに」

接続…連体形

意味
・即時(〜とすぐに/〜やいなや)
・原因・理由(〜ので/〜から)
・逆接仮定条件(「〜むからに」の形)(〜としても/〜ても)


問五 次の各文を、接続助詞に注意して、現代語訳しなさい。

 ① 扇のにはあらで、くらげのななり。

 ② 見渡せば 近きものから 岩隠り かがよふ玉を取らずは止まじ

 ③ 日を経つつ 我何ごとを思はまし 風の前なる木の葉なりせば

 ④ 日は照りながら、雪の、頭に降りかかりける。

 ⑤ つれなくねたきものの、忘れがたきに思す。