副助詞

3 副助詞
 現代語とあまり変わらないものが多いのですが、現代語にない「だに」、「すら」、現代語と意味が違うことが多い「さへ」は、解釈のポイントになることが多いので、注意が必要です。

◎「だに」
意味
・最小限(せめて〜だけでも)
  例 散りぬとも 香だに残せ 梅の花
   (散ってしまうとしても、せめて香りだけでも残しておくれ。梅の花よ。)

・類推(〜さえ)
例 光やあると見るに、螢ばかりの光だになし。
   (光があるか、と見るが、蛍くらいの光さえない。)


◎「すら」
意味
・類推(〜さえ/〜でも)
  例 言問はぬ木すら妹と兄ありとふを ただ独子にあるが苦しさ
   (ものを言わない木でさえ兄弟があるというのに、ただ一人っ子であることの辛さよ。)


◎「さへ」
意味
・添加(〜まで)
  例 あづさ弓おして春雨けふ降りぬ あすさへ降らば 若菜摘みてむ
   (一面に春雨が今日降ったよ。明日まで降るならば、若菜を摘んでしまおう。)

・類推(〜さえ)
  鎌倉時代以降に出てきた意味。仮名遣いこそ違え、現代語と同様の意味です。
 
◎「し」
意味
・強意(訳に入れない/ちょうど〜)
例 唐衣きつつなれにしつましあれば はるばる来ぬる旅をしぞ思ふ
※訳に入れないのが基本ですが、識別問題で問われることがあります。上の例だと、「きつつなれにし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形ですが、「つましあれば」の「し」と、「旅をしぞ思ふ」の「し」は、副助詞となります。どちらも、抜いても文法的に成り立ちますが、「きつつなれにし」の「し」は、「つま」という体言につづくので、前の「に」(完了の助動詞「ぬ」の連用形)に文法的な矛盾が生じます。他にサ変の連用形とも区別が必要です。


◎その他の副助詞
・「など」=〜など/〜などと
・「のみ」=〜だけ
・「ばかり」=〜くらい/〜だけ
・「まで」=〜まで
※これらはほぼ現代語の感覚で、意味がわかります。


問六 次の各文を、副助詞に注意して、現代語訳しなさい。

 ① 命だに心にかなふものならば なにか別れの悲しからまし

 ② 聖などすら、前の世のこと夢に見るは、いと難かなるを、

 ③ 思ひきや すぎにし人の悲しきに 君さへつらくならむものとは