歴史的仮名遣い

 歴史的仮名遣いは、古典を読むための基本中の基本です。慣れないうちは違和感があるでしょうが、慣れてくれば、むしろ現代仮名遣いの方がおかしく感じられます。

1 一文字だけでも読みが異なるもの

 ハ行
  歴史的仮名遣いでの表記     は ひ ふ へ ほ
  読み(現代仮名遣いでの表記)  わ い う え お
   ※ただし、自立語の頭の場合は、表記通りに読む。

 マ行
  歴史的仮名遣いでの表記     ま み む め も
  読み(現代仮名遣いでの表記)  ま み ん め も

 ヤ行

  歴史的仮名遣いでの表記     や い ゆ え よ
  読み(現代仮名遣いでの表記)  や い ゆ え よ
   ※表記と読みは一致するが、動詞の活用行に注意。

 ワ行
  歴史的仮名遣いでの表記     わ ゐ う ゑ を
  読み(現代仮名遣いでの表記)  わ い う え お
   ※ただし、「を」は、助詞の場合は「を」と読む。

 ダ行
  歴史的仮名遣いでの表記     だ ぢ づ で ど
  読み(現代仮名遣いでの表記)  だ じ ず で ど

※もともと「ち」、「つ」と描くものが濁った場合は、例外的に、現代仮名遣いでも「ぢ」、「づ」が使われる(漢語は除く)。例 三日月(みかづき

2 二文字以上の組み合わせで、表記と読みが一致しないもの

 ・歴史的仮名遣いで「あう」、「あふ」、「わう」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「おう」

 ・歴史的仮名遣いで「おほ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「おお」

 ・歴史的仮名遣いで「きう」、「きふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「きゅう」

歴史的仮名遣いで「きゃう」、「けう」、「けふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「きょう」

歴史的仮名遣いで「ぎゃう」、「げう」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「ぎょう」

歴史的仮名遣いで「かう」、「かふ」、「くゎう」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「こう」

 ・歴史的仮名遣いで「がう」、「がふ」、「ごふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「ごう」

歴史的仮名遣いで「しう」、「しふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「しゅう」
  
歴史的仮名遣いで「じう」、「じふ」、「ぢゅう」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「じゅう」

歴史的仮名遣いで「しゃう」、「せう」、「せふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「しょう」

 ・歴史的仮名遣いで「じゃう」、「ぜう」、「ぢゃう」、「でう」、「でふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「じょう」

 ・歴史的仮名遣いで「さう」、「さふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「そう」

 ・歴史的仮名遣いで「ざう」、「ざふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「ぞう」

 ・歴史的仮名遣いで「ちう」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「ちゅう」

 ・歴史的仮名遣いで「ちゃう」、「てう」、「てふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「ちょう」

 ・歴史的仮名遣いで「たう」、「たふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「とう」

 ・歴史的仮名遣いで「だう」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「どう」

 ・歴史的仮名遣いで「とほ」、「とを」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「とお」
   
 ・歴史的仮名遣いで「にう」、「にふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「にゅう」
 ・歴史的仮名遣いで「ねう」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「にょう」

 ・歴史的仮名遣いで「なう」、「なふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「のう」

 ・歴史的仮名遣いで「ひゃう」、「へう」、と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「ひょう」

 ・歴史的仮名遣いで「びゃう」、「べう」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「びょう」

 ・歴史的仮名遣いで「はう」、「はふ」、「ほふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「ほう」

 ・歴史的仮名遣いで「ばう」、「ぼふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「ぼう」

 ・歴史的仮名遣いで「みゃう」、「めう」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「みょう」

 ・歴史的仮名遣いで「まう」、「もふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「もう」

 ・歴史的仮名遣いで「いう」、「いふ」、「ゆふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「ゆう」

 ・歴史的仮名遣いで「えう」、「えふ」、「やう」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「よう」

 ・歴史的仮名遣いで「りう」、「りふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「りゅう」

 ・歴史的仮名遣いで「りゃう」、「れう」、「れふ」と表記するもの
   読み(現代仮名遣いでの表記)「りょう」


 これらをすべて記憶するのは困難ですが、古文には、英語と違って作文はない(たとえ古語で書いてあっても、現代に書かれたものは「古文」ではない)ので、なんとなくでも読むことができれば十分です。

練習問題

問一 次のことばの読みを、現代仮名遣いで答えなさい。

① あたひ

② かうがうし

③ うぢしふゐものがたり
  
④ でふ  
 
⑤ をがさはらりう
  
⑥ きちゃう
  
⑦ なほし(直衣)
  
⑧ あふぎ   
  
 
⑦は基本原則から外れた読み方をしますが、入試問題でもよく問われているので、敢えて入れました。